●ハピネスチャージプリキュア!
【放送時期】2014年2月~2015年1月
●ストーリー(東映アニメーション公式HPより引用。)
クイーンミラージュが率いる悪の組織・幻影帝国が地球に攻め始めている。
世界中に各大陸にプリキュアチームが存在し、暴れるサイアークを食い止め、人々の為に戦うプリキュアの情報がワールドニュースで放送されている。
サイアークに侵略されたブルースカイ王国の王女・ひめ(ヒメルダ)は逃げるように日本にやってきた。
ひめはブルースカイ王国にいた地球の神 ブルーに、プリキュアとして戦うように命じられるのだが、プリキュアになってもばかり。
そんなひめに、ブルーは、プリキュアの仲間探しを勧める。
ブルーが手渡したのは、愛の結晶。
これがあればパートナーへと導いてくれる。人見知りのひめには好都合のアイテム。
それでも、どうしたらいいのかわからないひめは、『これが当たった子が友達』と、愛の結晶を放り投げる。
それが当たったのが、愛乃めぐみであった。
●解説
2004年2月からオンエア開始し、もはや小さい女の子のみならず、男の子やアニメファンからも絶大な人気を集めているプリキュアシリーズ第9作、通産9代目のプリキュア。
この時、プリキュアシリーズ放送10年目を迎え、東映アニメーションとバンダイ、朝日放送によるプリキュアシリーズ10周年記念プロジェクトも同時に行われることも計画しており、様々なコラボ企画を立ち上げたのもこの作品で、脚本はYes!プリキュア5シリーズでシリーズ構成を行ってきた成田良美、キャラデザイナーは劇場版ワンピース フィルムZで手がけてきた佐藤雅将氏が担当し、ワンピーススタッフによるプリキュアシリーズのキャラデザはこれが初という形になる。
番組当初はファンもキッズも大きな期待を寄せていたが、しかし…中途半端な物語と展開、活かしきれない設定が大きな仇となり、プリキュアシリーズの評価を大きく下げてしまうという本末転倒を犯してしまい、ファンからもネット上や視聴者からも厳しい意見ばかり突き付けられ、『黒歴史作品』とレッテルを貼られてしまう。
さらに、10周年記念として力を注ごうとした商業面は、前年秋辺りにレベルファイブのニンテンドー3DSによる人気ゲーム『妖怪ウォッチ』の人気が急激に伸び始め、男女児問わずの人気で他のアニメ・ゲームコンテンツの人気も根こそぎ人気の座を奪われてしまい、プリキュアも例外問わずに惨敗を屈してしまうという非常に苦い結果となってしまった。
柴田弘明Pは、この結果を踏まえてか劇場版ハピプリ公開特集が掲載された日刊スポーツのプリキュア新聞のインタビュー記事で、「来年のプリキュアはプリキュアのようでプリキュアではなくなる。」とコメントを残しており、それが翌年の『GO!プリンセスプリキュア』へのフォーマットとなる。
●オープニング前によるプリキュアオールスターズ 10周年記念メッセージ
1話~34話まで、各プリキュアシリーズを手掛けたキャラデザによる新規描き下ろし、新録音による10周年記念オープニングメッセージが毎回登場し、1話のキュアブラックことなぎさから始まり、34話のキュアホワイトことほのかまでの現行~往年メンバーによるショートメッセージが流れており、こちらも現在東映アニメーションのYoutube公式チャンネルで観る事ができるほか、今年9月から東京MXテレビでハピプリによる再放送でも観る事が可能。
当時の映像モノの大半は、殆どが映像差し替えという手が多いが、そのままリアルタイムでの映像をそのまま使用するのは極めて珍しいケースである。
なお、スイートプリキュアとドキドキ!プリキュアのキャラデザイナーである高橋 晃氏の10周年記念メッセージの原画が、一迅社から発売されたプリキュア関連書籍『高橋 晃プリキュアワークス』にて掲載されているが、川村敏江と馬越嘉彦氏のプリキュアワークスシリーズでは掲載されていない。
●ある意味で『無敵』、ヘンな噂までもに作ってしまったキュアラブリー
このハピプリにおいて、最も伝説になり過ぎたのが歴代のプリキュアシリーズでは絶対真似する事さえできないラフな戦い方とあり得ない必殺技の数々であろう。
特にラブリービームはプリキュアシリーズにおいて、目からビームを放つという超大胆さには多くのキッズやアニメファンを唖然とさせられてしまい、一部ネット上では「デ・ジ・キャラットの目からビームを撃つプリキュア」とか「プリキュアがX-MENのオプティック・ブラストを放つ。」という噂が飛び交い、さらにpixiv内でもネタ画までも登場しちゃったぐらいである。
しかし、それが度が過ぎたためか、ゴープリではちゃんとした正統系な戦い方に戻された。
●こちらもある意味で『無敵』、そして桁外れのチートクラスを放つプリキュアハンター ファントムの実力…そして、ファントムが女装によるアンラブリーの存在。
ラブリーが無敵である事は確かであるが、さらに超える実力として現れたのが、プリキュアハンターのファントム…キュアミラージュのパートナーであったファンファンによる敵バージョンである。
化け物じみた戦闘力で、海外勢プリキュア陣営を呆気なく倒してしまうわ、ラブリーと同じ姿によるアンラブリーに変身するという設定…歴代プリキュアシリーズにおいての敵陣営では比べ物にならないほど実力は、未だに多くのファンの間で語り継がれており、なかでもアンラブリーの登場で、秋以降のプリキュアシリーズの同人誌即売会やプリキュアシリーズを扱った成人向けのファンサイトでもラブリーとの絡んだイラストや同人誌が多く出回り、意外な所で人気を博す。
これが、彼の元の姿であることはいうまでもないが、後に…
罪滅ぼしという事で、大森ごはんで居候することに…。
●結局、強かったのか強くなかったのか…解らずじまいの海外勢プリキュア
●商品展開は多く出したのに、結局…使う場所的に生かしきれなかったフォームチェンジ。
数回登場しているにもかかわらず、大半がファントムにフルボッコされてしまった海外勢プリキュア…これも作品において大きなマイナスポイントを築き上げてしまった一つの要素になってしまった。
回毎に助けに行ったり、ラブリー達と共に加勢して戦うという場面があまりなかったため、彼女達の存在も空気そのもの…もはや『張子の虎』といってもおかしくない。
さらに大きな大失態をなったのが、フォームチェンジ…このシリーズで大きく取り上げられた他、各商品にもフォームチェンジした商品もいくつか多く出ていたのだが…しかし、フォームチェンジを使ったのは僅か1回ずつというのもマイナスポイント。
これを反省を踏まえて、ゴープリではモードエレガントというフォームチェンジで敵をフィニッシュさせる設定が組み込まれるようになった。
●スタッフ
★プロデューサー
土肥 繁葉樹(ABC)
高橋 知子(ADK)
柴田 宏明(東映アニメーション)
高橋 知子(ADK)
柴田 宏明(東映アニメーション)
★シリーズディレクター 長峯 達也
★シリーズ構成 成田 良美
★音楽 高木 洋
★製作担当 山崎 尊宗
★美術デザイン 増田 竜太郎
★色彩設計 佐久間 ヨシ子
★キャラクターデザイン 佐藤 雅将
●最近の再放送の動向…
関東エリアでは去年9月より、東京MXテレビ1にて毎週木曜の19時からオンエアで、週1ペースでのオンエアとなった。
しかし、木曜と金曜の19時のみプリキュアシリーズの放送時間に設定変更という路線に変更され、提供クレジットは無いが、基本的にカードゲーム会社のブシロード(またはどうメーカーのアプリ会社 ブシモ)のTVCMオンリーとなっている。
BS11やアニマックス、他の関東UHF局でのオンエアは現時点ではないが、早くても2年ぐらいで再オンエアする局も出てくることであろう。
●総評
物語設定、キャラ設定も積み込み過ぎた挙句、結局活かす所も活かしきれず、さらに近年は妖怪ウォッチの出現によりキッズコンテンツ自体による人気争奪が厳しくなってしまい、残念な結果で終わってしまったハピプリことハピネスチャージプリキュア!は、ある意味でシリーズにおいての悪い見本という結果になってしまった。
その翌年のGO!プリンセスプリキュアは、監修として鷲尾 天Pが担当することになり、ファンの間からも人気も返上できたとなったのだから評価できたが、やはりメディアでの扱いは2012年のスマイルプリキュア!から徐々に減少していたのは実に見えていた事は確かで、関連玩具の年間売り上げが76億円、ふなっしーを使ってのシリーズ単独の映画の興行収入が5.3億円と流石に頑張ったと呼べない数字になってしまったが、改めてプリキュアシリーズの周りに強力なキッズアニメ作品ばかり出揃ってき手いる事は間違いない。