●GO!プリンセスプリキュア
【放送期間】2015年2月~2016年1月
●ストーリー(東映アニメーション公式HPより引用。)
ごきげんよう!わたし、春野はるか!『ノーブル学園』に通う中学1年生!!
わたしには大切な夢があるんだ。
それはズバリ「プリンセスになること」!!
大好きな絵本に出てくるプリンセス…そんなステキな人に絶対なりたいの!
昔『カナタ』という男の子とも、夢はあきらめないって約束したんだ。
新しい生活、がんばっちゃうぞ~~!と思っていたら、人々の夢を「扉」の中に閉ざし絶望に染めてしまう悪いやつらが目の前に現れて……!!
『プリンセスパフューム』と、『カナタ』にもらってお守りにしていた『ドレスアップキー』で、わたし、なんと『プリンセスプリキュア』に変身しちゃった!!
「つよさ・やさしさ・美しさ」をかねそなえた真のプリンセスとなり世界を救うこと…それが『プリンセスプリキュア』の使命なんだって。
夢のためにも、みんなを守るためにも、悪いやつらに閉ざされた夢の扉はわたしが開いてみせる!!
●解説
今までのプリキュアシリーズ路線的に大きく変更、そしてこれまでに無かった新要素と新機軸となって作られたシリーズ12作品目であり、同時に10代目のプリキュアであるが、今作のコンセプトは『プリンセス』というテーマで作られたシリーズであり、同時にシリーズでは初の寮生活というライフスタイルという部分も非常に今までのシリーズには無かったが、前年度に公開されたディズニー&ピクサーの『アナと雪の女王』の人気にプリンセスを追加したと思われる。
プロデューサーは、前作のハピネスチャージプリキュア!まで担当した柴田弘明、今作はさらに神木 優氏とのダブルタッグという構成であった。
しかし同年6月、柴田弘明プロデューサーが東映本社のテレビ企画制作部への異動という事態を受け、後半からは神木プロデューサー単独でのシリーズとなり、同時に柴田プリキュアシリーズはこのシリーズを以て終了という形になった。
また今作から、初代プリキュアシリーズを手がけた鷲尾 天プロデューサーが復帰し監修という形で今シリーズのサポートという役回りで行うことになり、キャラクターデザインはこちらも週刊少年ジャンプ原作のコミック作品のアニメ ワンピースのキャラデザを手がけた中谷由紀子氏が担当している。
ストーリー展開も前作のハピネスチャージプリキュア!と比較すると、濃密な恋愛やダラダラとした物語展開での反省であったためか、子供のみならず大人でも十分楽しめるシリーズになったともいえよう。
当初は、『プリキュアにプリンセスの要素は絶対無理だろう。』と一部囁かれていたのだが、この丁寧なストーリー展開に関して、多くのファンも納得できたのもいうまでもない。
●『強く、やさしく、美しく』…それがゴープリの大きなテーマ。
これまでのプリキュアシリーズのコンセプトといえば、『強くて可愛い』というスタイルが基本であったが、女の子の憧れでもあるプリンセスの魅力でもある『美しさ、優しさ』というテーマを上手く取り入れ、特に一人前のプリンセス…もとい、女の子らしさへの自分を磨くという大きな成長テーマも取り入れている。
過去のプリキュアシリーズでも、いろいろな部分で自分を磨いてきたが、いろいろな経験をするうちに磨きつづけていく事に成長していったが、最終的に自分の将来へのステップアップへ繋げていくという部分に関しては歴代シリーズとほぼ同じであるが、最終話でのその後の未来の姿でみせるという大きなサプライズにも注目である。
●シリーズで唯一、その後の未来の展開を描かれたシリーズでもあり、同時に終結後にプリキュアとしての役目御免という設定。
過去のプリキュアシリーズにおいて、敵の戦いにおいての終結後…その後の物語として、自分の将来についての展開といえば、現在継続していくといういわゆる『現在進行系』という方向性で終結し、その後の展開に関してはまるでなかった様に終わるという事が多かった。
しかし、ゴープリはディスダークのディスピアとクローズとの戦いによる終結後、同時にホープキングダムとノーブル学園の平和を取り戻した同時に自分達が変身してきたドレスアップキーが使えなくなるという代償が大きいが、このプリキュアになるという貴重な体験が4人の将来に対しての大きな力になったともいえる。
「オールスターズで再び、はるか達がプリキュアになってるんだけど…。」というツッコミがあるかもしれないが、オールスターズは基本的にアナザーストーリーであるという部分をご理解いただければ幸いである。
●プリキュアと最も近い存在であった『七瀬ゆい』という存在…。
このシリーズで最もプリキュアとの距離が一番近かった存在といえば、このノーブル学園で入学したはるかの同級生である 七瀬ゆいの存在も忘れてはならないだろう。
これまでのシリーズで、プリキュアになったメンバーと最も近い一般キャラは少なからずいたが、そのなかでも七瀬ゆいだけは最もこのシリーズで大きな原動力になったメンバーで、過去に何度もディスダークに標的になったが、同時にその絶望から見事打ち破るほどの大きな力を手にし、終盤戦ではプリキュアになったはるか達がディスピア、クローズとの最終決戦の際に絶望の檻に閉じ込められた学園のみんなを救出し、はるか達に大きな力を与えた。
その体験談を物語として作り上げ、ゆいは絵本作家として成功を収めており、同時にその後の未来で、多くの人がこれがプリキュアだということは知る由もないけど、ここまで多くの人に語り継がれていった力は絶大だったともいえるだろう。
●新たなる試み その1 シリーズ唯一のタブーであった『水着』の設定の解禁。
過去のプリキュアシリーズにおいて、海に行っても水着にならずに私服のままいるという違和感アリアリな展開が多かったが、これは東映アニメーションでのプリキュアシリーズにおいての厳しい制約があり、『過剰な暴力による流血シーン』や『水着シーン』等というハンデが大きく圧し掛かっていた。
しかし、そんなタブーを打ち破って挑んだのがゴープリで、海で水着に着替えて泳いだりするという設定は多くの視聴者を驚かせたが、これは「キュアマーメイドとしての活躍として原則オーケーとみなす。」とみなしルール適用されたためであるが、今後のプリキュアシリーズでこういった制約が解除されるという部分に関しては不透明であろう。
●新たなる試み その2 劇場版プリキュアシリーズにおいての三本立て。
過去のプリキュアシリーズで、同時上映作品という形に公開されたのが、2006年のSplash☆Starのチクタク危機一髪!とP5GGの『ちょー短編!プリキュアオールスターズ GOGO!ドリームライブ』とその程度であった。
しかし、劇場版プリキュアシリーズのメインストーリーの大半が約70分程で、一部小さい子でも長くなる分だけ飽きてしまうというデメリットもあり、そこで本編エピソードを50分、短編2本(5分&15分弱)という構成にし、短編はエンディングで補ってきた3DCGを使った作品となり、この辺も前作大惨敗を屈した劇場版ハピプリよりは、ある一定の人気を取り戻した。
しかし、毎年恒例であった一迅社による劇場版プリキュアシリーズのフィルムコミックは残念ながら発売されていないのが非常に悔やまれる結果となってしまった。
●『敵からプリキュアへ…』三例目、スカーレットこと赤城トワとトワイライト。
梅澤プリキュアシリーズから続いてきた恒例ともいえる 新プリキュア追加という設定…今作ゴープリではスカーレットことトワが一番クローズアップだろう。
ホープキングダムの王子であり、トワの兄であるカナタの妹であったトワ…しかし、そんな彼女にディスピアの毒牙でマインドコントロールで操られ、トワイライトとしてはるか達と対立する事になるが、過去のシリーズでフレプリのイースことせつな、スイートのセイレーンことエレンと同じ通ってる道であるが、意外にこの展開は非常に人気が高い。
しかし、日に日に強くなっていくはるか達に徐々に劣勢を強いられていくが、22話ではるか達とカナタによる強い説得、そして意思を通じ合った結果…トワはディスピアによる呪縛から開放。
同時にドレスアップキーの力で新しいプリキュア キュアスカーレットとして覚醒し、はるか達と共にディスピアと戦うことに決意し、その末に彼女の故郷であるホープキングダムの平和を取り戻すことに成功した。
●スタッフ
★プロデューサー
植月幹夫(ABC)
高橋 知子(ADK)
神木 優(東映アニメーション)
柴田弘明(東映アニメーション 2015年6月度まで)
★シリーズディレクター
田中裕太
★シリーズ構成
田中 仁
★音楽
高木 洋
★製作担当
山崎 尊宗
★美術デザイン
増田 竜太郎
★色彩設計
佐久間 ヨシ子
★キャラクターデザイン
中谷友紀子
●最近の再放送による動向…(2016年4月現在)
放送終了してからまだ半年しか満たないため、現時点での各関東地方による独立UHF局での再オンエアは現時点で流されていないが、早い場所ではプリキュアシリーズ再放送に関して力を入れている東京MXテレビが今年下期辺りにオンエアされる可能性は高い。
スマートフォンによるオンデマンドサービス『ABC動画倶楽部』でも現時点で配信も行われていない。
BSデジタルのBS11でのオンエアとなれば、早くても2019年辺りでの再放送は確実だろう。
前作ストーリー展開によるテンポの悪さと詰め込みすぎた設定が活かされずに終わったという部分が裏目に出てしまい、同時に10周年記念という節目で大失態を犯してしまったハピプリの反省を踏まえての経験を上手く活かされたシリーズとなり、同時に柴田・神木両プロデューサーによる構成が見事人気も水準に回復を取り戻すことに成功。
これを活かして、再び路線方針を変えた『魔法つかいプリキュア』が誕生し、『伝説の戦士』という路線からの脱却を狙っている。
子供のみならず、歴代プリキュアシリーズを観てきてるファンも久々の良作であり、10~40代の女性ファンからも意外に好評価を得たのも事実である。
しかし商業面は、昨年の妖怪ウォッチやプリパラといったキッズコンテンツの攻勢が激しさを増していたため、初回の販売実績が20億を下回ってのスタートという大変厳しく、最終的にグッズ売上も60億後半とまたもや歴代ワーストを更新してしまったという厳しい結果に終わってしまったのは無理もなく、同時にグッズやキャンペーン展開に少し迷走気味であったため、現在放送中のまほプリで人気と商業面の回復を狙えるかが大きな課題となるだろう。