●魔法つかいプリキュア!
【放送期間】2016年2月~2017年1月
●ストーリー(朝日放送 公式HPよりストーリー引用。)
私、朝日奈みらい!
春休みのある日、小さい頃からずっと一緒のクマのぬいぐるみ「モフルン」と出かけたら、リコちゃんと出会ったの。リコちゃんは、なんと魔法つかい!!
「リンクルストーン・エメラルド」っていう強い力を秘めた石を探しに、私の町にやって来たんだって!
でも、それを探してたのはリコちゃんだけじゃなかったみたい…。
闇の魔法つかい「ドクロクシー」の仲間が、「リンクルストーン・エメラルド」を渡せって私たちの前に現れたの。
そんなこと言われても知らないし!?
闇の魔法で生まれた怪物「ヨクバール」に追い詰められたその時、『キュアップ・ラパパ!』魔法の言葉をリコちゃんと手をつないでとなえたら、伝説の魔法つかい「プリキュア」に変身しちゃったんだ!!
ぬいぐるみの「モフルン」がしゃべるようになるし、
楽しくてワクワクな「魔法学校」に通うことになっちゃうし!
いったい、どうなってんの!?
とにかく、「リンクルストーン・エメラルド」は「ドクロクシー」たちには渡さない!
私たち「魔法つかいプリキュア!(以下まほプリ)」が見つけるんだから!!
2016年2月から2017年1月までオンエアされたプリキュアシリーズ通産13作目であり、歴代では11代目のプリキュア。
今作も前作の『GO!プリンセスプリキュア』と同様の従来のモチーフは方向性の違うのプリキュアで、これまで『伝説の戦士 プリキュア』という懸念を捨て、『伝説の魔法つかい プリキュア』という設定という形で変えているが、前作のGO!プリンセスプリキュアでは『プリンセス(お姫様)』がモチーフにしているにもかかわらず、伝説の戦士プリキュアとして継承を守り抜いてきた。
今期担当の内藤圭祐プロデューサーは、過去に同じニチアサの朝6時半にオンエアしていた東映アニメーション作品である『ワールドトリガー』のアシスタントプロデューサーを務めていたが、今作が初のメインプロデューサーという形となり、キャラクターデザインは、過去のプリキュアシリーズで作画監督を担当し、シリーズ初の作画担当のYes!プリキュア5の46話で初参加となった宮本絵美子氏が初のキャラデザとなり、久々の高いクオリティによるプリキュアシリーズなった。
同じニチアサシリーズにおいて、魔法使いを題材にした作品といえば、1999年から2003年まで『ハートキャッチプリキュア!』でキャラデザを担当した馬越嘉彦氏の『おジャ魔女どれみ』、スーパー戦隊サイドでは2006年から2007年までオンエアされた『魔法戦隊マジレンジャー』、平成仮面ライダーシリーズでは2012年から2013年までオンエアされた『仮面ライダーウィザード』ぐらいである。
Wikipedia側の概要の一部に内藤氏によるコメントで、「手と手をつなぐことで、心をつなぎ、希望をつなぎ、世界をつなぐ。ひとりひとり皆違うけれど、だからこそ面白い、そしてその違いを認識し受け入れることで、世界は広がっていくんだということを、さまざまな『つなぐ』を通して伝えていきたい』とのことで、今作では人間界と魔法界による世界の行き交いという部分にも大きな重要なリンク部分となっている。
なお、このシリーズにおいて『魔法使い』ではなく、『魔法つかい』が基本定義なのでご了承していただきたい。
これまで、プリキュアシリーズで異世界に行くという話に関してはシリーズによってまちまちであり、過去に他の世界に行ったシリーズで、2008年のYes!プリキュア5GoGo!のパルミエ王国、フレッシュプリキュア!ではスイーツ王国とラビリンス、スイートプリキュアではメイジャーランドと以降シリーズで重要な回と劇場版程度しか触れられていなかった。
まほプリでは前半エピソードにおいて、みらいが魔法学校へ行くという話が明記しているが、その世界と行き交う事ができる手段が『カタツムリニア』と呼ばれる移動手段で移動するのだが、ここにも時代の反映し、JRや大手私鉄で採用されている非接触式ICカードタイプ『MAHOCA』を使って行く事ができ、同時にカタツリニア車内や魔法界による物品購入もこれで解決しているが、現実の非接触ICシステムの構造は似たり寄ったりな部分もある。
ちなみに魔法界で、みらい達が住む世界の事を『ナシマホウ界』と呼ばれている。
●『闇の魔法つかい』と『終わりなき混沌』…二つの勢力。 プリキュアシリーズにおいて、敵の組織は必ずしも1組織のみという定義を守られてきたが、今作では新たなに二つの勢力がみらい達に襲い掛かるという展開になっている。
前半期のエピソードはドクロクシーとヤモーが率いる闇の魔法つかい陣営との戦いであるが、この辺にもこの後の終わりなき混沌との繋がりがあるという意外な複線も設けている。
ドクロクシーの正体は、魔法学校の校長の同じ同級生であり優秀の魔法つかいである『クシィ』が正体で、魔法学校の校長と共に大きな災いから救うために『リンクルストーン・エメラルド』を見つけなければいけないのだが、その在り処も知らずに調べていった結果、数々の危険な魔法の書物に手を出し、結果的に闇の魔法を入手することはできたが、それが代償となって闇の力の暴走によって制御ができずに自ら命を絶ったということになる。
次に現れたのが『終わりなき混沌』と名乗る敵である。
こちらは27話からラブーを筆頭にベニーギョ、シャーキンス、オルーバの三人から構成された敵で、天を引き裂いてこの宇宙に出現した邪悪な存在とのこと。
世界に災いをもたらす根源とされており、『終わりなき混沌』というのもここからきている。
また、12人の眷属のイメージは『古代の神々』『無慈悲な神』であり、伝承に登場する神や物の怪といった『人ならざるもの』をモチーフしているとのことだ。
その二つの勢力が大きくぶつかり合ったのが45話であり、オルーバが率いるデウスマストの能力も道理を超えた能力も持っており、みらい達の魔法及び、ドクロクシーやバッティによる闇の魔法を軽く見下すぐらいであったが、みらい達の力によってオルーバに勝利することはできたが、その眷属達を融合してデウスマストとして復活し、人間界と魔法界を融合させる。
しかし、それもみらい達の力により、巨大化したフェリーチェの活躍により、デウスマストは見事葬り去ったが、その代償として人間界と魔法界が離れ離れになると非常に大きな代償となってしまったのは言うまでもない。
そんな闇の魔法つかい一同も50話一度復活し、再度悪事を働くがみらい達ときらきらプリキュアアラモードのキュアホイップによって倒され、後に改心し普通に魔法界に生活するようになり今日に至ってるようだ。
●フォームチェンジ新機軸、二人で歴代プリキュアによるポジション能力を使い分けが可能。 これまでのプリキュアの能力といえば、各メンバー一人一人のイメージからにあった能力を予め設定されていたが、今作では複数のイメージカラーによるフォームチェンジで先頭での活躍の場が大きく広がったというのも大きなトピックともいえるだろう。
初の試みであった『ハピネスチャージプリキュア!』では、予め用意していたにもかかわらず僅か1~2回程度使って、使い場所があまり活かされないまま終わってしまったことで視聴者からの大きな落胆と怒りの声を受ける形になってしまった。
前作のゴープリでは、フィニッシュ時にモードエレガントと呼ばれるフォームチェンジが使われていたが、通常のスタイルを毛が生えた程度であったため、多少使い勝手が難しかった。
しかし、まほプリはこの二作とは対照的に、手にしたリンクルストーンの能力使う事によって、大きな属性能力を生かすという部分に関してはこれまで活かしきれなかったフォームチェンジの反省点を上手く活かす事ができたともいえる。
前二作まで人気の低迷で急落してしまったプリキュアであったが、まほプリによる人気もこの辺りからじわじわと回復傾向をみせてくれたのが、みらいが持っていた熊のぬいぐるみ モフルンによる人気だ。
これまで、プリキュアシリーズのサポートキャラといえば妖精が基本的にデフォルトという形であったが、このシリーズでも全シリーズでは例がないぬいぐるみがサポートキャラという形になったのも今作初の試みであり、同時にプリキュアに変身するのもモフルンと手をつないで変身するという特殊能力に関しても歴代プリキュアにはなかった新しい要素ともいえる。
これの人気がよかっためか、バンダイから発売された『おしゃべりぬいぐるみモフルン』の人気が非常に好調で、リンクルスマホンと共に女児向け玩具ランキングを上位に独占させたというのもプリキュア関連に力を入れている小売店側としてはうれしい限りで、劇場版ではモフルンがプリキュアになる『キュアモフルン』もこれもまた成功をし、僅かながらであるが『ふんわりフレンズ キュアモフルン』が緊急発売された事も記憶に新しい。
●人気が回復したのはいいが、もう一つの課題が未達成という問題。 キャラの人気と玩具面の売り上げも良かったのは確かだったが、しかし…ここにきて非常に厳しい現実が待ち構えていた…それが『視聴率』に関する問題。
初代の放送開始時、平均視聴率も7%台と非常に高い数値を叩き出してきたのだが、近年その視聴率も大幅に落ち込んでしまっているという非常に厳しい状況に立たされ、まほプリも当初は平均より高めの視聴率であったが、回を重ねる毎にその視聴率も3%以下まで落ち込んでしまっており、悪い日でも2%強まで落ち込んでいる事をとある個人のプリキュアを扱っているブログで解き明かしている。
原因の一つが、近年はリアルタイムより録画して観るというスタイルが多く、特に日曜朝8時半界隈の番組環境も熾烈な視聴率戦争の火種が生まれているということで、その多くの原因の一つが同じフルネットで放送しているTBSのワイドショー番組『サンデーモーニング』による視聴率が奪われていたということが発覚しており、この辺も日曜でも親がワイドショーの番組を観ているという状況が考えられるのではないかと考えられる。
次に東京や大阪、名古屋、福岡、北海道の大都市圏でテレビ東京系列のアニメ番組も随分前から進出しており、こちらも大都市圏による視聴率低下もあるということもあるが、さらに去年秋にフジテレビもプリキュアと同じ時間帯にアニメ番組を進出し、9時からのドラゴンボール超やONE PIECEへの繋ぎとしての狙いもあるのだが、これに関してやはり今のニチアサの番組プログラムにも偏りがあり、『プリキュア以外は殆ど男の子向け番組』というのが大きな原因ではないかと推測もある。
●プロデューサー
植月 幹夫(ABC)
遠藤 里紗(ADK)
内藤 圭祐(東映アニメーション)
●シリーズディレクター
三塚 雅人
●シリーズ構成
村山 功
●音楽
高木 洋
●製作担当
山崎 尊宗
●美術デザイン
増田 竜太郎
●色彩設計
佐久間 ヨシ子
●キャラクターデザイン
宮本 絵美子
現時点で放送終了したばかりであり、他の放送局による再放送に関しては未だに動きはない。
しかし、関東独立UHF局で一番早くても東京MXテレビとが一番の有力であるが、早くても2017年秋(遅くても11月、早くても10月ぐらいか?)にも最速ペースの再放送という可能性もありえる。
BSデジタルのBS11では、恐らくオリンピックイヤーの2020年辺りに持ってくる事は確実だと思われるだろう。
●総評
シリーズブランドの人気の回復的に成功といえば成功であるが、やはり視聴率面の低下がなんともいえない状況に陥っているのはやはり時代の反映なのだろうかという部分に関しては否定はできない。
一昨年、アナ雪や妖怪ウォッチ、アイカツ!やプリパラといった強力なコンテンツがプリキュアの前に立ちはだかってしまい、人気そのものを吸い上げられてしまって人気自体の存続に危機感が生まれていたが、現在は妖怪ウォッチやアナ雪も落ち着いた状況でもあるため、人気自体は取り戻す事はできたが視聴率自体の数字に厳しいものになってしまったため、今後もシリーズ継続するという狙いは確実であろう。
物語はやや子供寄りのシフトであるが、この辺もメインターゲット狙っての方向性なのだから仕方がなく、次期作の『キラキラプリキュアアラモード』で、肉弾戦を封印するという新たな独創性で人気を奪回を狙う東映アニメーションだが、これに関しても注意深く見守っていくかはファンの見解となるだろう。